丼池繊維会館について
大阪船場の丼池筋に建つ、
歴史的ランドマーク
商都大阪の中心にあって繊維の町として、その名を知られる船場。
そこには大阪屈指のモダニズム建築の数々が残されています。
芝川ビルや生駒ビルヂングなど、当時の雰囲気を残しつつ再生され、今も愛され続けているビルも少なくありません。
丼池筋に建てられた丼池繊維会館もまた、歴史的価値を継承する大阪のランドマークであり、
再生プロジェクトにより新たな息吹を吹き込まれた建築遺産のひとつです。
本館は長い歴史の中で、その姿に幾度も手が加えられてきました。特に1997年には鋼製のサイディングに覆われ、最大の特徴であるファサードが失われました。
現代的なセンスを加え、
未来に残るモダニズム建築へ
現存するオリジナル部分を可能な限り保存すること。当館はリノベーションに際してまずその原則を掲げ、さらに現代的な意匠テイストを付加することで、モダンスタイルへの移行期の特徴を強調することを目指しました。例えば外観では、1階テナント廻りのシャッターボックスと、2階テナントの室外機隠しを兼ねた庇を設置。エントランス前には、モダンなスチール製格子扉を設けました。水平性の動きを強調するシャープなデザインを打ち出す一方で、壁面に陰影を生み出すレトロモダンな切文字サインなど、当時の面影を想起させる工夫も各所に施しています。