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絵本と砂の部屋(仮) OSKビル4F

今日は丼池繊維会館周辺のお店紹介をします。今回ご紹介するのはOSKビル4階にある「絵本と砂の部屋」(仮)です。

子供向けとされ大人が手に取ることは滅多にないかもしれませんが、実は絵本は大人も楽しめるものです。

子供のためというよりはむしろ大人が絵本に触れるためのコミュニティスペース「絵本と砂の部屋」を設けたのは、大学でのキャリアデザイン講師や中小企業診断士、経営コンサルタントやカウンセリングコーチなどとパラレルキャリアを持つ浜口桂さんです。

 

こちらの部屋には売り物ではなく、浜口さんの所有物である絵本が1200冊ほどあります。訪問者は無料で絵本を手に取ることができます(貸し出しは行なっていません)。絵本は読む人の様々な感覚に訴えかけ、絵本を通じてある種新しい体験価値が持てるそうです。ここの空間にいるとその意味がわかってきます。

 

浜口さんが絵本の魅力をたっぷりと伝えてくれる他、様々な面白いワークショップを開催しています。取材で訪問した私自身、浜口さんの話してくれる絵本の面白さに大興奮してしまい、予定時間を大幅に越して話に聞き入ってしまいました。

 

浜口さんは経営コンサルタントとして企業研修をする時や大学の授業でも絵本を活用しているそうです。こちらの「かさ」という絵本をよくその教材として取り上げていらっしゃいます。「かさ」には文章がありません。大学では即興で生徒が人前で読み聞かせをするという授業を行うそうです。これは「発想する練習」となり、また、聴衆の顔や反応を見て修正しながら話す力やプレゼンテーション力をつけるトレーニングにもなるそうです。ストーリーは個人の価値観が投影するので一つ一つ違ったストーリー展開となるそうです。大変興味深いですね。

 

訪問客は女性の方が割合多いですが、読み聞かせをしたい父親がどう子供に読み聞かせをしたらいいかと相談にみえることがあったり、20代の男子学生や50代のタクシードライバーなど、男性客も割と多いそうです。

浜口さんは、彼のお子さんには「おしまい」と言われるまで毎晩絵本を読み聞かせてあげていたそうで、最高記録は一晩で40冊読んだそうです!

 

日本では絵本といえば、古い名作がずっと読み継がれる傾向が強く、世間一般に新しいものが脚光を浴びることは多くありません。絵本業界では「子供のためにと選ぶ母親」に媚びた、倫理的で美しい話が求められると聞きます。

ですが海外の絵本を見てみると実に多様で、日本では非常識とされるようなストーリーがたくさんあります!

例えばこちらの4冊、海外の絵本を翻訳したものですが、浜口さんが紹介してくださったものです。

「おともだちをたべちゃった」はタイトルの通り、大好きな友達を見つけては食べてしまって友達がいなくなり、それで絶望するけどまた友達探しをしては結局絶望を繰り返すモンスターの話です。最後にできた友達との展開にも不穏な予感を抱かずにいられないわけですが、予想とは異なる衝撃的な幕閉じをします。非道な話として評価は二分するかもしれませんが、「なぜ大好きな友達を食べちゃうのかな?」と、普通は理解不能な気持ちをモンスターよりに立って想像してみたりするのも面白いかもしれません。何ともシュールでインパクトのある絵本です。

「王さまと王さま」は、王さまが、婚約をしていた美しい花嫁の「兄」と結婚をする話ですが、周囲の全員が祝福をし全員がハッピーエンドなお話です。「ふたりママの家で」は二人の母親が3人の養子を迎えて暮らす様子を語ります。「マチルダとふたりのパパ」も同性婚の家族が普通の家族と変わらないことを少女の目線で物語ります。

同性が愛し合ってもちっとも不思議じゃない、愛し合うことはとても豊かで素晴らしいこと、LGBTを差別することなく自然で当たり前の存在だと子供の頃から親しませてくれる本だといえるでしょう。

 

次にこちらの絵本はとても不気味でもの悲しいタッチで描く、エドワード・ゴーリーという方の作品です。

転落する少女の人生を描いた作品、「不幸な子供」は、最後の最後まで救いのない、恐ろしく暗く不憫なストーリーでした。怖いもの見たさで1ページずつ恐る恐るめくる・・・、なんでしょう、エドワード・ゴーリーに不思議とハマる人がいるのもわかる気がします。

エドワード・ゴーリーを紹介するコーナーもあります。

絵本にこんなシリアスな作品があるなんて本当に衝撃でした。小説や映画にはホラーが当たり前にありますが、そういえば日本ではなかなかホラー絵本作品はないかもしれませんね。絵本にもホラーがあってもいいのかもしれません。

このようにこちらの部屋では、日本の絵本業界では描かれないテーマの面白い海外作品にも多く触れることができます。

 

他ユニークな作品。虫の言葉で書かれた絵本。言葉として全く成立していない音で描かれています。どんな音で、どんな会話が展開されているのか。読む人次第でストーリーは変わりますし、読む毎に会話を変えて読んでみるのも楽しいでしょうね!

 

教会の鐘で大砲を作って戦争をしたら、大砲を打つたびに鐘の平和な音が流れる「キンコンカンせんそう」。人間の愚かな行為をユニークに戒める作品です。

 

「りんごかも」は、作家ヨシタケ シンスケさんの、実にたくさんのイメージを膨らませて「りんご遊び」をした絵本です。一つのものから100個以上(?)、たくさんのイメージを生み出せることが本当に素晴らしいです!果てしなく発想してみることにチャレンジしてみたくなります。

このように絵本に触れるということは、様々な価値観、発想、世界に触れることであり、子供も大人も実に楽しめるものです。特に子供が子供のうちから絵本に触れることで、自分の置かれた限られた環境とは全く異なる世界の価値観に体感的に触れられることが素晴らしいと浜口さんは言います。絵本は子供の創造力、柔軟性ある思考力を育むことができるそうです。

 

部屋のタイトルに「砂」があるように、この部屋にはスウェーデン産の、触った感触が実に不思議な、指についたり散らかったりしにくい砂の入った箱があります。訪問者は自由にディスプレイしたり砂で造形したりすることで自分の世界を創造して楽しむことができます。

創造活動は人を癒しもしますし、箱庭には造形をした人の心理状況が表されるので、心理テストのように心の状態を紐解くツールにもなるそうです。

 

どうやら絵本には魔力のような不思議な力や魅力があるようです。絵本を通して新しい体験をしてみてください!

絵本を使ったワークショップや箱庭を使ったワークショップなどイベントを開催していますので、ぜひチェックして遊びに行ってみてくださいね!

例えば、動物の絵本の読み聞かせの後に天王寺動物園の職員から動物の話を聞くとか、パンがたくさん出てくる本の読み聞かせと美味しいパンを持ち寄って食べるイベントなど。

■絵本と砂の部屋(仮)Information

HP
https://ehontosunanoheya.jimdofree.com/hatwork.com/

Facebook
*Facebookライブも行っています
https://www.facebook.com/絵本と砂の部屋仮-1991695354275067/

(地図:絵本と砂の部屋HPより)

平日は空いていることが少ないですが、閉まっていても座って自由に絵本を読んでもらえるように廊下にソファーと月別のテーマで選ばれた絵本がディスプレイされています。実際に、OSKビルの最上階にあるボルダリングに来られるお客さんが休憩中に絵本を手に取ることもあるそう。

 

 

 

 

 

 

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