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木村和平写真展『あたらしい窓』回想録 2021/5/7~21

写真家・木村和平の5作目となる写真集「あたらしい窓」の写真展を開催しました(2021/5/7~21)。

木村和平は、1993年に福島で生まれ、現在は東京を拠点に活動する写真家です。
雑誌や広告を中心に活躍しながら、2018年に写真集「袖幕」、2019年には「灯台」と、精力的に作品発表を続けています。

 

「あたらしい窓」は、ほとんどが2018年までに撮影した写真で構成されています。

“近い存在であるはずのひとが、動物が、風景が、ふいに遠く感じることがある。それは寂しさや不確かさ、そして触れ難さとなって、短い風のように目の前に現れる。”

誰にも身近でありうる日常の一コマを切り取ったように見えますが、そこに映し出されているのは被写体との距離感。

“被写体とカメラの距離が近くても、ひとがこちらに笑いかけていても、遠いときはとことん遠い。間に窓があるみたいに、みえるのに触れない。”

“これはなにも暗い話ではない。もちろん悲しくもあるけれど、親愛の中にある距離を、どこか眩しく思う。”

対象そのものより静かにそして鮮明に「親愛の中にある距離」を写しているのだと同氏は言います。

日常的なシーンが多いとはいえ、常にカメラを持ち歩くタイプでもなければ、行き込んで「撮るぞ!」と出掛けるタイプでもないそうです。

生活の記録とは違い、日々の生活の中で遭遇した場面、相手との意思疎通や進まない時間、浮動する影、あるいは固定された光などに反応し、少し恐縮しながらもしつこくじっくり撮るそうです。

そんな写真家の目線や感覚に触れてからまた写真を眺めるのが筆者は好きです。作品は見る人の感覚で自然に自由に捉えていいものですが、作者の感じている空気感や距離感、なんともいえない切なさをより共有できるような気がします。

本展では約15点の作品を、すべて本人による手焼きプリントで展示しました。

作品はHPで観賞いただけます。

http://www.kazuhei-k.com/

 

 

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