丼池繊維会館

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enamel. pop up 回想録 2022/2/18~20

enamel.のシーズンレスに行ってきた展示は、今回で 18 回目だったそうです。

enamel.は、グラフィックデザイナーの石岡良治さんとファッションデザインを担当する紗佑里さん、ご夫婦で手がけるブランドです。モードの学校出身ではなく芸大出身で、制作過程や視点がモード出身のファッションデザイナーさん達とはまた違ってくるのがおもしろいです。アーティストとしての奥深い趣向や独自の視点により、幾度となく実験や研究を重ねてできるオリジナルテキスタイルで洋服、靴、バッグの制作をされています。

以下、enamel.さんの展示メッセージです。

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制作をはじめたころより作っていたバッグは、わたしたちにとって小屋のよう なものと感じています。それは、その当時の自分達には等身大に粗末だったり非実用趣味的なもので、その小屋のような 20 年余の制作を経て、 今回母屋にあたる服の制作もはじめています。

動物、植物、虫にとっての風雨から身を守る毛などの表皮にある柄やカタチは、拡張の表れ生存本能だとしたら、バッグや服もわたしたち の身体の拡張部分、そこにある柄も生存本能に関わるものと感じています。そうお話をすると壮大な途方もないことのようですが、今回の 柄やカタチは、身近にささやかなことから起きたことを、テキスタイルにしています。そうすることでシンプルに楽しく物事を考えれると 感じます。

1つは、チューブを押すと出てくる歯磨き粉や絵の具。筆で描くより簡単なアクションで、魔法みたいだと押すたびに思ってました。その 魔法も、チューブの出口が小さい形状だから起き、内容物に掛かる力もニュートンの粘性法則で数字にも表せるようです。その絵のシリー ズが、「Aqua fresh」と「Tube」という絵です。

2 つ目。その絵の具どうしを少しずつ混ぜ、擬似的にマーブリングし新しい色になる途中を切り取りコラージュしたシリーズが「Frame」。 1997 年に打上げられた土星探査機カッシーニから届いた土星と木星の画像を自分なりに模して描いています。コロナ禍の自宅自粛中に描い た宇宙の旅です。

3 つ目。コロナ禍にベランダで育てた葡萄。実がつき採り絞ってまた来年の葡萄を待つ、長野のドメーヌ ruedevin さんで採集させてもらっ た葡萄と、アトリエの超極狭小の地植えの葡萄ごっこ遊びの枝葉を一枚の絵にしたシリーズ「Grapevine」。自分たちの仕事も農業と醸造の それと変わらないかもなと感じるに至っています。それでも葡萄やワインはホントの命、絶え間ないサイクルに自分も組み込んでもらえた ような、朝と夜の風景です。

これら小さいことの積み重ねで起きていて、その結果をシリーズにした作品です。小さくシンプルなことも説明は意外に複雑になり、でも デザインは一言で魔法のようなものだと思って制作しています。

わたしたちについて
紙と布を扱う小さなデザインスタジオです . あとウェブ制作と構築をすこししています . また、予約制にて弊社の商品をご覧いただけるよう、 アトリエを開放しています .

ステイトメント
「はっと息を飲む〇〇」という比喩があります . その「はっと息を飲む〇〇」を探して、わたしたちは仕事をしたいと感じています .

また、日本の伝統的な世界観に「ハレとケ」という意識があります . ハレは「儀礼や祭」そしてケは、普段の生活「日常」のこと、はっと息 を飲むような華やいだハレの舞台はもちろん、ケのなかにもそれを探すよう過ごしています .

プロフィール
enamel.

https://enamel.co.jp/

石岡良治と石岡紗佑里によるデザインユニット . ファッションやインテリアなどに関するアートディレクション、グラフィックデザイン、テ キスタイルデザインなどのプリントワーク、素材製作から携わり、視覚的に特徴付けるデザインを展開、ウェア・バッグデザインなどオリ ジナルにセルフワークを定期的に発表 . 2004 年 Tokyo TDC Annual Awards 2 点ノミネート、2006-10 年 マリメッコの国内ショップ初動展開 時のアートディレクション・グラフィック、パッケージデザインを担当、2013 年より京都精華大学非常勤講師(デザイン科担当)、2019 年 グッ ドデザイン賞受賞(ショウワノート BETWEEN)、2021 年 ルイヴィトン銀座並木通り店 フィッティング内アートワーク担当

石岡良治
1973 東京都生まれ 1998 多摩美術大学デザイン学科染織デザイン科卒業

マガジンハウス、伊藤桂司氏主宰 UFG inc. 勤務を経て独立
2000 NYADC 装丁賞受賞「光琳社出版 お馬鹿さんなふたり 著 : レベッカ・ブラウン、野中柊」(UFG inc. 在籍時担当書籍) 2000 enamel. としてスタート
2004 Tokyo TDC Annual Awards 2作品ノミネート「弊社 4th collection ポスター」「DESPERADO INVITATION CARD」 2008 有限会社 enamel. 設立(代表)
2012 経済産業省主催 365 日 Charming Everyday Things デザイン展選出 パリ展出展
2013 京都精華大学非常勤講師招聘
2019 グッドデザイン賞 2019 受賞「ショウワノート BETWEEN」
2021 ルイヴィトン銀座並木通り店 フィッティング内アートワーク担当

石岡紗佑里
1973 東京都生まれ 1996 武蔵野美術短期大学デザイン科空間演出デザイン専攻卒業 1997 ー 2000 レナウンルック社(現 ルック社)展示会に参加

ジョー ケイスリー ヘイフォードなど参加する展示会に enamel. の前身のブランドとして出展 1998 ー 2000 グランカスケード社バッグデザイン契約
2000 enamel. としてスタート
2008 有限会社 enamel. 設立(取締役)

2012 経済産業省主催 365 日 Charming Everyday Things デザイン展選出 パリ展出展 2019 グッドデザイン賞 2019 受賞「ショウワノート BETWEEN」 2021 ルイヴィトン銀座並木通り店 フィッティング内アートワーク担当

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