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大城戸織布とennhütの合同展示会「布音を纏う」回想録

播州の幡屋である大城戸織布と、大阪でモノづくりをする子供服&レディースブランドennhütの両者がコラボレーションした展示販売会が開催されました(2023/11/24,25)。

大城戸織布 http://www.okd-weaver.jp/
ennhüt https://ennhut.wixsite.com/ennhut

兵庫県・播州に工房を構える大城戸織布。独自の技法を駆使し、素材の持つ風合いを最大限に活かして織り上げるその生地や糸を、大阪市内で直接手に取れる貴重な機会となりました。

縦糸と横糸が交差して生まれる一枚の布。その絶妙な色の重なりが織りなす美しさには、思わず息をのみます。大城戸さんは、さまざまなアーティストとのコラボレーションを通じて、多彩な表現を追求しながら実験と挑戦を重ね、唯一無二のテキスタイルを生み出しています。

播州織といえば、シャツ地のような平織りのイメージが強いですが、大城戸織布はそれに限りません。例えば規則性を持たずに異なる糸を織り交ぜ、留めながら仕上げることで、豊かな表情と立体感を生み出します。そして、素材の個性を活かした織りの中に響く音色を、大城戸織布では「布音(ふね)」と呼んでいるそうです。

この「布音」は、糸が織りなす響きそのもの。伝統に根ざしながらも、自由な発想で織り上げられた布たちは、まるで音楽のように豊かな表情を宿しているといえるでしょう。

一方ennhütは、大城戸織布の生地を中心に、全国の幡屋さんと共に創りあげた生地を贅沢に使って物作りをしています。さまざまなタイプの織り方を組み合わせて独自のテキスタイルを創造しています。着た時の心地よさや動きやすさも大事にされていて、筆者も長年愛用しているブランドです。

この展示販売会のために、双方の意見を出し合い、新たに創った生地を服に仕立てたものが次の画像の衣服です。ドレスの方はボタンや紐などの留め素材を外せば一枚の大きな布になるのですが、着方が何通りにも自由に遊べる仕様になっており、とても素晴らしかったです。

服を脱げば、ほぼ一枚の大きな生地、それが身体を包むことで立体的に形を変えるその構造は、日本の伝統的な衣服である着物にも通じるものがあります。加えて、かつてウェディングドレスの制作に携わっていた経験も、このデザインに息づいているのかもしれません。

 

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