丼池繊維会館

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RE;PROJECT

丼池繊維会館のリノベーションについて

最大限にオリジナル部分を活かし、現代の感覚でモダンを再考し表現したディティール。
新しさと懐かしさの融合を実現したリノベーションです。

details

ファサード

築後93年の歴史の中で、1階の店舗化やそれに伴うエントランスの変更等、その姿を変えてきた。そしてついに1997年、鋼製のサイディングに覆われ、その最大の特徴であるファサードを失い、丼池の街角で20年間ひっそり佇んできた。今回のプロジェクトは、この失われたファサードを街に取り戻すことを原動力として始まった。

外壁タイル

老朽化による脱落ではなく窓の交換のためにタイルが剥がされた部分は、現在の汎用的なタイルを採用し、2016年に補修した部分が残るようにデザインした。

現状を認めること

オリジナルの左官装飾が残る部分、過去にタイルの脱落部分を左官工事でタイル型に補修した部分、サイディング工事の際に削られた左官装飾部分もすべて残す外観の考え方。

館名板

鋼製サイディングを支持するための無数のアンカーボルト跡や決して繊細な仕事とは言えないタイルを剥がした部分の左官跡もそのまま残して、新たな館名板との調和を試みたエントランス。

木製サッシ

新たに木製サッシを吊り込んだ部分に残る隙間の左官跡も塗装で隠すことなく、2016年の痕跡として残した。

照明

ホールや共用廊下の照度を落とし、シンプルな器具を採用することで全体的なイメージ作りを優先させた。

階段

ほとんど補修するのみにとどめた、時代を感じさせる木製手すりと床にクリンカータイルが残る階段。

汎用的な建材の活用

モダニズム志向のオリジナルデザインの中に残された装飾に、新たにシンプルなデザインの器具や汎用的な建材を加えたことと、照度を落とした照明計画としたことで、全体イメージの完成度が高まった。

廊下

天井高3.3mの屋内廊下を一つの空間として生かす意味でも幅3.0mと広く設定。木製サッシ枠、造り付けキャビネット、建具の色目を合わせた木質とガラスとモルタルという厳選された素材がミニマムな照明によって一体化する2階ホール。

ミニキッチン

モルタル左官仕上げの壁面とオーソドックスな白角タイル貼りで現場造作したミニキッチン。天井高が高く、ちょっとした作業部屋にしてしまいそうな給湯室。

ドレッシングルーム

利用者の着替えやお化粧直し、身だしなみを整えるドレッシングルーム。アパレルショップや仕立て屋の試着室としての利用にも備えた。

屋上会議室

多人数での使いやすさとフードコミュニケーションの誘発を想定して直線的に配置した厨房機器とカウンターテーブルによるキッチン。雨の日は屋内で、晴れの日にはテラスに出て、食を囲んで繰り広げられる楽しいギャザリングの様子を思い浮かべて設えた。

2nd cycle

建築にしても、プロダクトにしても、仕組みにしてもいいデザインを認め、
現代の感覚で再編集し、必要とされるところで再利用する。
本館では建築そのもの以外に内部空間構成のために三つのプロダクトを2nd cycleしている。

ビル・リバーセンターの
ガラスブロック

天満橋にある階段の美しい小さなレトロビル。外壁の一部であったゆらぎのあるガラスブロックを2階壁面のアクセントに。

塩野義製薬研究所の
木製建具

鷺洲にあった巨大でモダンな研究所ビル。全研究室に設えられていた実験器具収納用の天袋の建具。坂倉建築研究所によるオリジナルデザインでキャビネットの建具として2階ホールの重要な要素として設えた。

村野藤吾の
オリジナル家具

堺筋瓦町にある画廊のために設計されたフジカワビル。村野藤吾による設計で、様々な家具、什器備品もオリジナルデザインで製作された。

リノベーションの過程

概要

所在地大阪市中央区久太郎町3-1-16

土地面積245.88㎡

延床面積638.00㎡

用途店舗・事務所

構造規模鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付3階建

竣工年月日1922(大正11)年12月16日

リノベーション竣工年月日2016(平成28)年3月29日

事業主株式会社丼池繊維会館

総合企画設計合資会社マットシティ(みんなの不動産)

設計監理高岡伸一建築設計事務所

施工株式会社ミドリテック

建物管理合資会社マットシティ(みんなの不動産)

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