「作って伝えて、あなたの街へ。」〈mederu CARAVAN〉はながく愛せる上質なものを探求するmederuのコレクションを携えて、各地をまわる移動式の展示受注会です。
mederu CARAVAN中、旅先ではその土地の工芸に触れ、そこでの体験が次のジュエリーのインスピレーションになることもあるようです。
例えば京都の紬(つむぎ)の織物や、佐賀の唐津焼に触れ、そこに「静かな中に詰まっている心地よい贅沢」、つまりSNSなどで求められる目に驚くという新しさや面白さではなく、画面には映りづらいが手で触れると確かに分かるもの、−記憶のどこかで知っているような心地よさ−を見出します。日本に生まれて、その風土と文化に暮らしているからこその感覚なのでしょうか。
アトリエに帰ってからは、その「静かな中に呼び覚まされる心地」に耳を澄まし、古代から生き残ってきたジュエリーの源流に目を向け、「目立つものでも映えるものでもないかもしれないけれど、思わず手に取ってしまう、肌が、記憶がよろこぶものであってほしい。手元にずっと残したくなるものになってほしい」という願いを込めて製作。そうして出来上がったものがその時の受注会の商品だったそうです。
mederuでは、機械技術ではなく、遠回りであっても手仕事と時間を惜しまず小さな工程を重ねていくモノづくりをされています。そうするからこそジュエリーがより愛され、美しさが継いでいかれ、文化が循環していく、と想像しているそうです。
単なるデザイン性や見た目のかっこよさから生まれるものではなく、人の感覚、温もりや心地、古代やこれからも引き継がれていく文化、あらゆる細部に想いを巡らせてから金属に形が与えられていくジュエリー、静かに貫禄があって本当に素晴らしかったです。